青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第13章 次こそは
「ダメだ。思い出せない」
どの記憶を辿ってみても、私が思い出せるのは忌々しいあの記憶と『キセキの世代』や思い浮かべるだけで心底腹の立つあの二人のマネージャーの顔だけだ。
それ以外は、思い出せる内容のあまりの濃さに霞んで見える。
「黒ちんはそんなモンだから仕方ないけどねー」
紫原はお菓子をパクッと一つ口に運びながら言った。
元チームメイトをそんなモンって…アンタ…。
うーん…でもなんか引っ掛かるんだけど…やっぱ思い出せん。
「鈴佳。眉間に皺が寄ってるアル」
「痕が残ってしまうよ?」
氷室と劉に言われ、私はそれを伸ばすように眉間を撫でる。
撫でながらも、頭の中は思い出せそうで思い出せない「黒ちん」の存在ばかり。
ホント…誰だったかな…。
「まー見たら思い出すんじゃなーい?」
「うーん…そーかも」
紫原に言われた私は、一度その「黒ちん」を思い出すことを止めた。