青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第13章 次こそは
季節はすっかり秋になり、ここ秋田では早々と冬の足音が聞こえる今日この頃。
あの日以来、私が呼び出しを喰らうことはめっきりなくなり、平穏でなんてことない日常を送っている。
そして、ついにやってきたWC秋田県予選。
「負けたら殺すから」
ベンチ入りした私は、ジャージを脱ぐスタメンの五人に真顔で言う。
言われた当の本人たちは、一瞬動きを止めて私を凝視。
そんな中、ハッとして福井ちゃんは私を小突いた。
「コラ、鈴佳。そんな物騒な言葉を使うな」
「監督の隣に居すぎたせいじゃな」
「間違いないアル」
福井ちゃんを歯切りに、次々と我に返っては口々に言う目の前の巨人集団。
「いいの?後で雅子ちゃんにチクるよ?」
「「「すみませんでした」」」
私がこんな言葉を使うようになってしまったのは雅子ちゃんの影響。
それは否定しない。
この一年半以上モノ間、元ヤンの隣に居れば嫌でも移りはする。
「ははっ大丈夫だよ、鈴佳。そんなこと言われなくとも俺たちは勝つから」
「これ予選だよー?何言ってんのー?」
「それで負けたら、マジでぶっ殺すからね」
「「……」」
負ける気など毛頭もないのだろうが、真顔で言い続ける私に、流石の二人も再び固まる。