青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第12章 帰れって
私はあくまでも陽泉高校バスケ部のマネージャーだから。
バスケ部にとってのメリットを一番に考えないといけない、ってことはよく知ってたから。
だから、こんな私でもこれだけはずっと守ってきたんだ。
「鈴佳」
氷室が私に歩み寄る。
「気づいてやれなくてごめん。辛かったよな」
「全然。慣れたし」
「慣れるモノじゃないよ」
泣きもしない私の頭を氷室はそっと撫でた。
そして、ゆっくりと雅子ちゃんの前に居る彼女らに視線を向けた。
「前にも言ったけど、応援してくれるのは嬉しいよ。けど…こんな形で応援されても俺はちっとも嬉しくない。鈴佳は俺たちの大事なチームメイトだ。これ以上鈴佳を傷つけるようなら、いくら女の子だろうと、俺は容赦しないよ」
その目は、怖いと一言に尽きるモノだった。
氷室に強く言われた彼女らは、俯き、泣き出す子まで居た。
「今回のことは不問にしてやる。だが、今後またこのようなことがあった場合は覚悟しておけ。……練習に戻るぞ」
雅子ちゃんが声を掛け、私たちは体育館へと戻って行った。