青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第12章 帰れって
福井ちゃんは、私の「は?」と言う返答を聞くと、更に表情を険しくした。
「『は?』じゃねーだろ!!何でこーなるまで黙ってたんだ!!」
「……」
こんなに怒った福井ちゃんは初めて見た。
一応考慮してか、そこまで強く叩かれたわけじゃないし痛くなかったはずなのに…じわじわと頬が痛みだす。
「……だって…黙ってなきゃ、福井ちゃんたちは…この人らを責めるじゃん」
私はポツリと呟いた。
「は?」
「私が色々言われてるって知ったら…福井ちゃんたちはこの人らに酷いこと言うじゃん!傷つけるじゃん!!」
痛み、と言うのは人それぞれ。
だけど、私が思う一番の痛みってのは、人からの言葉なんだと思ってるから。
その痛みを一番よく知ってるのは私だから。
「こんな奴らでも、福井ちゃんたちのこと応援してくれてんだし…応援してくれる人は多いに越したことはないじゃん。私が言えば、それを福井ちゃんたちは簡単に手放すじゃん」
「鈴佳…」
「こーなるって分かってたから……だから言いたくなかったんだよ」
浮かびそうになる涙を一生懸命に目の奥に押し込め、私は言った。