青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第12章 帰れって
案の定、氷室は驚きと疑いの混じった目を私に向けた。
「な、何?私だって物思いに耽ることくらいあるわ」
「本当アルか?あの鈴佳が?」
「し、失礼だな。オイ」
嘘…ではない。
ホントに物思いに耽ることくらいある。
極稀だけど。屋上じゃないけど。
「何もないんだったらいいけど…」
「もし、何かあったらすぐに言うアルよ?」
「へーへー。分かりましたよー」
シッシッと私が手で払うと、納得のいかない顔をしつつも、二人は私から離れて行く。
その様子を少しばかり心配そうに見ていたのは加奈子。
「鈴佳…笑ってた私が言うのもアレだけどさ。言わなくて良かったの?」
「言った方が面倒」
「そーかもしんないけど」
「私がいい、って言ってんだからいーのー」
「……」
私が言うと、加奈子はそれ以上何も言わなかった。