青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第12章 帰れって
これはホントのことだし。
今までも幾度となく呼び出しを喰らってきたし、手を出されたことだって数えきれないほどある。
それでも、一度だってヘマをして怪我。なんてことはないし、何の問題にもなっていない。
「鈴佳」
私と加奈子が話していると、そこへ氷室と劉が連れ立ってやってくる。
同じクラス、と言うこともあって、この二人は一緒に居ることが多く、昼休みには紫原もここに加わる。
そして、三人が揃えば、必ずと言っていいほど女子生徒たちが騒ぎだしては囲い込んでしまう。
なので、二人揃ってこうして教室で話し掛けてくるのは珍しい。
「二人して珍しいね。どーしたの?」
「最近よく屋上へ行ってるみたいだけど…何かあったのかい?」
「へぇ。私が屋上行ってるってよく知ってるね」
「さっき紫原が言ってたアル」
劉が言うには、屋上への階段がある三階は一年の教室階であるため、ここ最近その階段を登っていく私の姿を紫原が見かけるらしい。
あの紫原に見られていたとは、不覚だ。
「んー…黄昏てた?」
「え?鈴佳が?」
我ながら何とも苦しい返答。
思わず語尾に「?」は付くし、目も泳いでしまう。