青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第12章 帰れって
そう思った私がアゴリラに言うと、アゴリラは何故か黙り込んで女子生徒に囲まれた四人を見つめていた。
「アゴリラ?どーしたの…」
「な、何故じゃあぁぁああ!!」
「!?」
黙り込んでいたアゴリラを訝しげに覗き込むと、突然奇声を上げたアゴリラ。
これは、ホントにゴリラそのものだ。
「ちょ、ちょっと…マジでどーしたの!?」
今まで黄色い悲鳴をあげながら騒いでいた彼女らも馬鹿四人も、突然の出来事に驚いてこちらを見る。
私は慌てて、泣き続けるアゴリラを宥めた。
「何故じゃ…主将はわしなのに…わしなのに!何故、福井たちの方がモテるんじゃあぁあ」
「「「……」」」
シーンとした空間に、アゴリラの泣き声だけが響く。
誰も何も言うことはできなかった。
と言うよりは、ただ呆然とするしかなかった。
「ほ、ほら。もう体育館の中に戻りなよ。休憩終わんでしょ?」
「枝尾ぉ…!!」
「やだ!ちょっと!鼻水つくから近寄んないでよ!!」
この中で唯一優しい言葉を掛けたのが私だけだったからだろう。
アゴリラは私に近づこうとするも、そんな涙と鼻水とついでに汗にまみれたゴリラに触れらては、こちらとしても困る。