青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第11章 うぉー?
今年こそは負けない!と言うと、劉は「懲りない奴アル」と言いながらも、二本の線香花火を手に持つ。
「今年も負けた方がアイスね」
「はいはい。火をつけるアルよ」
劉が火をつけると、私は少しでも落ちないように、とジッと体を固まらせる。
「…紫原と何話してたアルか?また何か言われたアルか?」
「んー?特に何も。いつも通りだけど」
「そうアルか」
私は全神経を手元の花火に集中させながら答える。
てか、今集中してんだから話しかけんなよ。
「何もないならいいアル」
「劉?……あっ」
何をそんなに。と言うほど心配そうな声を出す劉に首を傾げたと同時に、その僅かな振動で私の線香花火は落ちてしまった。
くぅ…今年も私の負けかよ。
「もうっ劉が話しかけるから落ちちゃったじゃん」
「鈴佳」
二回戦のためにもう二本線香花火を取りに行こう、とした時。
立ち上がる私を劉が呼び止めた。
「何?二回戦なら…」
「我愛你」
「…は?うぉ、うぉー?」
急に中国語で話し始める劉。
それも、とてつもなく切ない表情で。