青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第11章 うぉー?
だけど、多分。
私に一番欠落してるモノかもしれない。
「それも全部、俺が壊しちゃったんだけどねー」
「壊した?」
暗くて、紫原がどんな表情をしてるかは分からなかった。
けど、どことなく暗い声だったことだけは分かった。
「藍ちんは自分のせいだって言ってるけど。ホントは俺のせいなんだ」
何の…話をしてんの…?
全く話が見えず…でも聞かなきゃいけない気がした。
「あれからなんだー…だーれも笑わなくなったのは。俺も、藍ちんも。みーんな」
ただ勝利という名のノルマをこなしていくだけだった、と紫原は話す。
それは本当に何の感情もなく、無機的に。
そして、紫原は、好きな子が笑いもせずに影で泣いているのをただ黙って見て見ぬフリをするしかなかった、らしい。
「だから、俺はもう負けたくないんだよねー」
「紫原…」
何と声を掛けていいのか。
私には、紫原が一体どんな気持ちでいたのかなんて、分かるはずもなかった。
ただ、私が苦しんできたように。コイツも違う苦しみを味わっていた。
『負けたくない』
そこに至る理由は違うし、何故紫原がそう言うのかまでは聞けなかったけど、ただ一つ。
私と紫原が共有できる唯一の感情。