青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第3章 キライだ
*
「鈴佳!待つアル!」
HR終了後、劉に捕まる前に教室を飛び出した。
何だかんだで足の遅い劉は、女の私と互角。
数歩先を逃げる私が有利に見えるが、劉は手足が長いため、腕を伸ばされては捕まってしまう。
私は角を曲がった先にある、空き教室へと逃げ込んだ。
「どこ行ったアル!!鈴佳!」
私がすぐ目の前のこの場所にいることなんて知らない劉は、少しすると、またすぐに走り去っていった。
「ふん、ちょろいちょろい」
劉の足音が完全に聞こえなくなってから、私はその教室を出る。
あとは体育館の前を通らずに裏門から出れば、少し遠回りにはなるが、寮へは帰れる。
残る問題は、鞄の中にある『退部届』をどう提出するか、だ。
「(体育館に行っても無駄だし…明日職員室に持って行こうかな)」
いや、でも。
これ、あの雅子ちゃんは受理してくれんのかな?
あー…ホント憂鬱。
「…ぅわっ」
鞄から出した『退部届』を見ながら歩いていた私は、前方から来た人に気づかずに、正面から衝突。
てか、お前も避けろよ。
「…ったぁ…すいませ…っ」
「あららー?こんなとこで何してんのー?」
顔をあげた私の表情は引き攣った。