青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第10章 奪われた
あ…ダメ。泣いちゃダメ。
泣いたら弱い自分を認めることになるんだから。
「全く…どこまで意地っ張りアルか…。泣きたい時は泣けばいいアル。今ならワタシには見えてないアルよ」
「……劉の…馬鹿ぁ…」
「はいはい」
劉の背中に顔を埋めて、私は泣いた。
涙を流すのはいつ振りだろう。
いつもは浮かんでくる涙を「泣いちゃダメ」「泣いたら負け」と言い聞かせて引っ込めていたから。
最後の全中の後で、一人こっそり泣いたのが最後かも…。
「まだWCが残ってるアル。そこで結果を残せばいいだけの話アル」
「…ヒック…できる…かな…」
「女王様のくせに何弱気になってるアルか」
それ今関係ないじゃん。
そう言い返したいのに、言葉が上手く出てこない。
「辞めるか辞めないかは、WCが終わった後にでも考えればいいアル」
だから明日からは練習に来るアルよ。と劉は言った。
コイツ…最初からこれが目的で…。
嵌められた。と気づいた時には既に遅し。
まぁ…今日はこれだけ甘やかしてくれたんだ。
「仕方、ないなぁ…」
私が涙声で答えると、劉はまたクスクスと笑った。