青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第10章 奪われた
「ワタシは鈴佳がマネージャーを辞めることに反対アル」
「……」
「福井も言ってたアル。本当は、鈴佳も辞めたくないんじゃないアルか?」
辞めたく…ないのかな…。
自分のことなのに、よく分かんないや。
「本当は…鈴佳は今のチームが好きなんじゃないアルか?」
「…分かんない」
「絶対好きアル。でも、中学のことがあるから、今のチームが好きだってことを認められないだけアル」
そうなのかもしれない。
入部当初、ずっと欝ぎ込んでいた私が笑えるようになったのは…まぎれもない陽泉のチームのお蔭。
だけど…笑ってる時でも、頭の隅にあったのはかつてのチームのこと。
こんな私が笑ってていいのかな…と思えば思うほど、上手く笑えないことも多々あった。
「厳しいことを言うけど。中学での出来事も、悪いのは鈴佳アル」
「え…ちょっ…そんな直球で…」
分かってますけど?知ってますけど?
そんなど真ん中ストライクに言わなくったって…。
傷口に塩を塗り込まれた感覚になった私の声は少々不機嫌になる。