青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第10章 奪われた
今では、兄が大学進学のために家を出て…私も陽泉に進学したから、もう四年は会っていないくらいだ。
実家にはちょくちょく帰ってきているみたいだけど、顔なんて一切合わせなかった。
「バスケを始めたのだって、兄貴に私のことを認めさせたくてだった。とか言ってもマネージャーなんだけどさ」
バスケがすっごい上手かった兄。
五つ上の世代では、なかなか有名だったようで、いつも自慢された。
悔しくて…私だって!と思って始めたのがバスマネ。
運よくそれが功をなした。
嬉しくて、褒めて欲しくて。
初めて自分が特集された月バスを持って兄に見せた。
『兄貴兄貴!見てよ、コレ!』
『何だよ。俺は受験勉強で忙しんだ』
『……』
それでも兄は私を褒めようとはしなかった。