青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第10章 奪われた
「…ねぇ聞いた?枝尾さん、帝光に負けたんだって」
「枝尾さんが負けたってどーゆーこと?」
「知らないの!?ほら、あの人。凄いマネージャーで有名だったじゃん?だけど、それを超える帝光のマネージャーに試合でこてんぱにやられたんだって!しかも相手は年下!」
「えー!だっさ!『女王』とか言われてるからどんなもんかと思えば、全然大したことないんだね」
「結局。最強は帝光の藍川と桃井だよ」
どこへ行っても聞こえてくる非難の声。
特に多かったのは「敗けたのは枝尾のせい」なんて声だった。
それに対して元チームメイトは何も言わなかったし、寧ろ噂の根源だった。
月バスの特集だって。
優勝校の帝光…と言うよりは『キセキの世代』ばかりで、準優勝校の鎌田西中は一切なかった。
――― 私は奪われた。
あの試合で。
信頼も。
仲間も。
名声も。
…バスケも。
全てを。
あの二人に。