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青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】

第3章 キライだ





翌日。

昨日の紫原の件で心底腹の立った私は、全く眠れず、眠れたと思っても忌々しい昔の夢まで見たお蔭で睡眠不足。

朝から不機嫌極まりない。

だから朝練はサボった。


「おはようアル」


いつものように隣の席に着くのは劉。


「……」

「不機嫌極まりないって感じの顔アル。折角可愛いのに勿体ないアルよ」

「それはどーも」


劉の言う「可愛い」はもはや挨拶レベル。

福井ちゃんの「女の子はとりあえず可愛いって言っとけ」なんて言う、とんでもない入れ知恵だ。

その証拠に、顔は全く「可愛い」って言ってないし、寧ろ「お前、面倒臭いアル」と言ってる。


「鈴佳。今日は…」

「行かない」

「昨日約束したアル」

「それでも行かない。てか部活辞める」


もう決めた、あんな奴のいる部なんて辞めてやる。

大体、私は自ら望んで入部したわけじゃないし。


「それはダメアル」

「劉には関係ない」

「はぁ…」


一切目を合わせずに、窓の外を眺めながら言う私に、劉はいつもながらに溜め息をついた。


「こうなったら仕方ないアル」


劉は独り言を呟き、携帯を取り出したかと思えば、誰かにメールを打ち始めた。

相手は聞かずともわかる。

間違いなく、ゴリラと福井ちゃんだ。


「いつも女王様の世話をするワタシの身にもなれアル」


それはご苦労なことですね。

わざと聞こえるように言った劉の言葉を、私は心の中で返した。

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