青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第3章 キライだ
振り向けば、こちらへ走ってくるのは劉。
相変わらず、バスケ部にしては遅い。
「…大丈夫アルか?」
「大丈夫なわけないじゃん」
「……」
もはやただの八つ当たり。
だけど、変なプライドから「弱さを見せたくない」という気持ちが働いて、つい強く言ってしまった。
「今日は機嫌悪いから帰るの。止めても無駄だから」
「……」
何も言わないのは劉なりの優しさなのか。
でも、優しいのなら正直ほっといて欲しかったんだけど。
私は劉に背中を向け、歩き始めると、劉が再び「鈴佳」と呼び止める。
「明日は来るアル」
「……」
は?こんな状況でも明日来いって言うわけ?
そんな意を込めて、私は劉を睨むが、劉はいつもと同じ表情のまま。
…私が怒ってんの、わかってる?
「はぁ……行けばいいんでしょ?行けば。わかってるよ!!」
空に向かって叫びながら部室へ向かいだすと、少しだけ劉の笑い声が聞こえた。
…ホント、腹立つ奴。