青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第9章 ナニコレ
私はほとんど一人で片づけを早々と終わらせた。
「流石は鈴佳がやると早いな」
福井ちゃんはゴミ袋の口を閉めながら言う。
「何で早くできないのかが理解できないし」
「仕方ないアル。こっちはゴリラの面倒も見なければいけないアルからな」
「誰がゴリラじゃ!」
言い合う二人を余所に、片づけを終えた私は再びベンチに腰を下ろした。
その様子を皆は不思議そうに見る。
「鈴佳?帰らないのかい?」
氷室が問いかける。
私は小さく深呼吸をする。
「…アンタが聞きたいって言ったんじゃん。私の話」
真っ直ぐに氷室を見据えた。
氷室は少し目を見開いて驚き、他の四人も驚いた表情を浮かべる。
「鈴佳…いいアルか?」
劉は心配そうな顔をして私の顔を覗き込んだ。
「いいよ」
今吉さんに言われたから、とかそんなんじゃなく。
いつかは話さなければならない。
ここに元凶とも言える紫原が居るってのがちょっとだけ癪だけど。
「これって…俺帰った方がいいのー?」
空気を読んでか、紫原が言う。
「別にどっちでもいいよ。聞きたくないなら帰ればいいし」
「……」
一瞬迷ったようにしたが、紫原も何も言わずにその場に留まる。