青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第9章 ナニコレ
そう思うと、なんだか仲間ができたみたいでホッとした。
ただの傷の嘗め合いだって分かってるのに。
「だから俺はアイツと本気で戦って…叩き潰したいんだよ」
そう言った氷室の顔は、いつもの穏やかな顔ではなく険しいものだった。
「戦うって…そのオトウト君はアメリカなんじゃないの?」
向こうに居た時の話、って言ってたし。
「いや、タイガは俺より先に帰国してる。今は誠凛って高校に居るんだ」
「誠凛って…え、鉄平の?」
「鉄平…?ああ、アツシの言ってたあの人のことかな?」
「紫原がどう言ったのかは知んないけど、私と同じあの子らの影に埋もれた人」
「間違いないようだ」
クスッと笑いながら答えた氷室。
何でも、紫原と東京観光していた時にストバス会場で会ったらしい。
…うち、草試合禁止なんだけど。
マジで何やってんの?
「じゃあ交代」
「は?」
氷室は微笑みながら言う。
交代?何の?
「俺も話したんだし、次は鈴佳が話す番だよ」
私の顔から表情が消える。