青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第9章 ナニコレ
恐る恐る目を開けると、氷室の顔が目の前にあった。
「怪我はないかい?」
えーっと…何この状況。
何で私氷室にお姫様抱っことかされてんの?
てか、怪我はないかい?って…もし怪我してたら確実にアンタらのせいだからね?
「よし、アツシ下りて来い!見つかる前に逃げるぞ!」
「オッケー」
状況をいまいち理解できない私を余所に、劉を乗せたままの紫原が脚立から降りた。
そしてそのまま脚立を置いて、全員が走り出す。
「(…ナニコレ…)」
え?私…部屋着なんだけど…てか裸足…。
いくら氷室に抱えられているとは言え、いつかは降りなければならない。
その時はどうしたらいいのでしょうか?
「ここまで来たら安心だな」
近くの公園まで来たところで福井ちゃんが言う。
「ほれ、枝尾のスリッパじゃ」
そう言ってアゴリラが差し出したのは、私の外履き用のスリッパ。
いつ持ち出したんだ。
勝手に女子寮に入ったのか…?
…あ、多分加奈子だな。