青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第9章 ナニコレ
私の場合は後者だ。
これまでの功績も全て全否定される。
『やから辞めるっちゅーんか?』
今吉さんは低い声で問いかける。
「そうだよ。私は…もうマネージャーを辞める」
最初からこうしてれば良かった。
雅子ちゃんの言葉に感化されて、「もしかしたら…」なんて僅かな期待を持ったのがそもそもの間違いだった。
夢も希望もなく、打ちのめされたのだから。
『あんなぁ…鈴佳。お前はそーやって、いつまで逃げるんや』
「……」
『お前が中学ん時に何言われたか?んなモンわしが知るワケないやろ。お前がゆーてへんのやから。鈴佳はただ自分がこれ以上傷つくんが怖いだけやないか』
逃げて…るんだな、私は。
そんなことくらい分かってる。
中学最後の全中で元チームメイトに言われた言葉は、今吉さんどころか、他の誰にも言っていない。
言ったところで…同情されるだけなんだから。
思い出して…自分の傷を抉るだけなんだから。
「傷つきたくなくて、自分を守ることの何がいけないの?」
人なら誰だって自分可愛さに、自分を守るじゃない。
自己防衛、って言葉があるくらいなんだ。
それの何がいけないって言うの?逃げることの何がいけないの?
『誰もあかん、とはゆーてへん。自分を守りたいて思うんはしゃーないことや…けどな。鈴佳はその度合いが酷過ぎる』
「はあ?」
『自分を守りたいばっかで…周りを一切見てへん。見えてるんはあの二人だけや』
何の…こと…?