青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第9章 ナニコレ
と、その時。
部屋のドアがノックされた。
「枝尾。起きているか?」
雅子ちゃんだ。
私は重い体を起こし、ドアを開けた。
「気分はどうだ?」
「……」
聞かなくても分かってんじゃないの?
最悪に決まってんじゃん。
「もう決勝が始まるが、見に行くか?」
雅子ちゃんの誘いに、私は首を横に振った。
私の反応を見た雅子ちゃんは「そうか…」と小さな声で呟く。
「…紫原は?」
紫原に聞きたいことがあった私は、雅子ちゃんに問いかけた。
「東京へ行った。実家へ帰るついでに氷室の観光に付き合うんだと」
「そっ…か…」
本当は…紫原が居ないことに安心してる自分が居る。
聞きたいことがあるのはホント。
でも、聞いてしまえば…私はこれ以上自分を保っていられる自信がない。
第一…紫原の顔を見てしまえば、それこそまた、過去の出来事がフラッシュバックしそうで怖かった。
「今日の夕方にはここを発つ。それまでゆっくりしていろ」
それだけ言い残すと、雅子ちゃんは行ってしまった。
私は「ふぅ…」と息をつき、ドアを閉める。
「お風呂…入ろ…」
浮かび上がってくる涙をお湯で誤魔化した。