青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第8章 嘗めてる
頭の中が真っ白になった。
確かに、紫原ほどの巨体だと一つ一つの動作で体の部位を痛めやすいことは重々分かってる。
だけど、今の紫原にはそんなところ…一切見当たらない。
なのに…藍川には分かるの…?
「アンタは…私なんかよりも……藍川を信用するんだ?」
チームも違う。
今や敵の藍川を。
アンタのモノじゃない、他の人のモノの藍川を。
同じチームの私なんかよりも…アンタは藍川を取るの…?
震える声で、私は紫原に問いただした。
すると、紫原は考える仕草も見せずに、即答で返した。
「そんなの当たり前じゃん。一緒にいた時間も長いんだし。藍ちんの言うことは誰よりも信用できるよ」
いつもの緩い喋り方じゃない。
これは…本気だ。
その瞬間。
私の頭の中に、過去の出来事が鮮明に蘇る。
「劉。枝尾を紫原から離すんじゃ」
アゴリラに言われた劉は、無言のまま私を紫原から引き離した。
その間も、私の思考は止まったままで、放心状態だった。