青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第8章 嘗めてる
そこで漸く三人は口を開いた。
「ちょ、鈴佳ってばぁ…何言ってんのー?藍川って、あの藍川華純のことでしょ?前にも言ったけど、藍川は洛山には居ないって!」
「そ、そうよ!藍川はアタシたちのとこには居ないわ」
「そもそも!んな奴居たら、すぐにでも鈴佳に言うに決まってんだろ?」
あまりの慌てっぷり。
逆に笑えてくる。
そこまでして隠したいのか。
赤司征十郎に口止めでもされてるのか。
そこまでして…この『女王』の私を愚弄するつもりなのか。
いつの間にか、私の顔からは表情が消えていた。
「もうその下手くそな演技も見飽きたんだけど。いいから早く藍川を出してくんない?」
「鈴佳。だから何度も言うけど…アタシたちのところには…」
「玲央はいいよ。小太郎、答えて」
「えぇ!?俺ぇ!?」
玲央はなんだかんだで頭が切れる。
ここで使うのは申し訳なさもあるが、お馬鹿な小太郎ならすぐにでもボロを出してくれる。
私に指名された小太郎は、慌てふためいた。
「え、えーっと…あのね?鈴佳。うちに藍川は居ないんだよ?何回言ったら分かんの?」
「あんま私をイラつかせないでよ」
「……」
モゴモゴ…としながら永吉の後ろに隠れる小太郎。
「鈴佳…いい加減にしろよ?春から何回も居ねぇっつってんだろ?」
見かねた永吉は溜め息をつきながら言った。