青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第8章 嘗めてる
有り得ない。
あの藍川がもうマネージャーを辞めたなんて、絶対に考えられない。
「鈴佳。落ち着くアル」
怒りの矛先をどこへ向けたらいいのか分からない私を、劉が宥めた。
それでも、私の怒りが収まるわけもない。
「(何でいないワケ!?桃井は桐皇のベンチに居た…なのに何でアンタは出てこないの!?)」
おそらく真相を知ってるであろう紫原も氷室も黙ったままで何も言わない。
それは、藍川は洛山に居るってことを肯定してるのと同じ。
わざわざ自分が出る幕でもない。とでも言いたいのか。
自分がベンチに入らずとも、洛山は優勝できる。とでも言いたいのか。
…嘗めてる。
ホント…心底私を嘗めくさってる!!
「鈴佳!どこへ行くアル!!」
悔しいのか、悲しいのか…私は色々な感情が入り混じって、観客席を立ち、劉の声さえも無視してその場から逃げた。
走ったところで、どこにも行く宛てなんかあるわけでもなく。
零れそうになる悔し涙を堪えた。
「(ダメ…泣いたら負けなんだから…!)」
自分にそう言い聞かせて、奥歯を噛みしめて涙を必死に押し戻す。