青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第8章 嘗めてる
そんな思いから、私は視線を今吉さんから試合へ移した。
それでも今吉さんは話し続ける。
「勝てへんのはしゃーないことなんちゃうか?元々生まれ持った才能の違いや。そんなん一々気にしとったら、それこそ負けやで?」
「説教しに来たんならどっか行って」
「ほんま相変わらずやな」
中学時代、『キセキの世代』が頭角を現し始めた頃。
既に高校生になっていた今吉さんから、こんな話をよくされた。
多分、真にも同じことを言っていたんだと思う。
心配してくれているのかどうかは置いといても、素直に「うん、そうだね」と私…ましてや真が言うわけもなく、いつも鬱陶しく聞いていた。
「鈴佳は、藍川と桃井にばかり気を取られすぎやで。もっと周りを見なあかん」
「はあ?あの二人の他にも私に仇なす者が居るとでも言いたいの?」
「そーゆーこっちゃあらへんけど…まあ一理あるわな。けど、わしが言いたいんは全く別のことや」
私に仇なす者がこれ以上増えて堪るか。
あの二人だけでも苦戦してんのにさ。