青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第8章 嘗めてる
そんな今吉さんは、今現在、目下のフロアで行われている陽泉の試合をチラリと見ながら言った。
「気分が乗らなかったから。見てるだけマシでしょ」
「相変わらずやの」
私が答えれば、今吉さんはケラケラと笑いだす。
「ま、陽泉が初戦敗退っちゅーことはありえへんと思うけどな」
「当たり前じゃん」
絶対防御を誇る陽泉が、私の居る陽泉が。
こんなとこで負けるなんてありえない。
いや…有り得てはならない。
私の本命は、優勝のみなんだから。
「てか、今吉さんこそ。こんなとこで何してんの?会場違うんじゃなかった?」
「うちの試合は夕方からやさかい。久しぶりに鈴佳の顔でも拝んとこ思てな」
「嘘つけ」
どうせ偵察とかそんなんじゃないの?
私の気まぐれさはよく知ってるんだし、まず第一に、会場に私が居るかどうかさえ分からないくせに。