青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第7章 確信した
あったかーく…?見守る?…は?
二人の言っている意味が全く理解できない。
それは氷室も同じだろう。
「…OK。俺が浅はかだったよ。Sorry」
え!?わかったの!?
わ、私って…もしかして滅茶苦茶馬鹿なの!?
「鈴佳は馬鹿アル」
慌てた顔をした私の心情を読み取ったのか、劉は溜め息を溢しながら言った。
馬鹿。と言われていい気分ではなく、私がバッと劉の方を振り向くが、劉はフイっと顔を背ける。
「そーだねー。枝ちんは藍ちんに並ぶくらいの馬鹿ー」
「オイ、アツシ!その名前を出すな!鈴佳がキレるぞ?!」
「はー?俺、知んねーしー。カンケーねーしー」
「あ゛!?」
藍川が馬鹿なのかどうかはどうでもいいが、確かに並べられて気分は悪い。
禁断の名前を出した紫原を福井ちゃんが止めるが、ここ最近どこか機嫌が悪い紫原は、悪態だけついてその場を離れた。
「なるほどね。劉、頑張るんだよ」
「お前に言われたくないアル」
「おーい。練習再開するぞー?」
氷室の言葉に、何故か目を鋭くした劉。
一方的に劉が、微笑む氷室を睨んでいると、アゴリラが声を掛けた。
「ほーら。二人共行くぞ」
それに従って、福井ちゃんが二人の背中をバシッと叩き、コートの中へ全員戻って行った。
「はあ?何なわけ…」
私の問いに答えてくれる人は誰もいなかった。
「そこ!IHは目の前なんだぞ!!気合を入れろ!!」
だが、それと同時に。
遠くで劉が「鈍いアル」と呟いた言葉は、雅子ちゃんの声にかき消されて、私の耳に入っていなかった。