青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第7章 確信した
「そこに籠置いといたでしょ?自分で取りなよ」
「じゃあ何で氷室には手渡しアル?」
「氷室はまだ部活に慣れてないからだよ」
尤もな答えだと思う。
氷室は、向こうに居た時からバスケはしていたが、主にストバスだったらしい。
慣れない日本で、ほぼ初めてに近い部活。
私なりに気を遣っての行動だ。
「ワタシもまだ日本に慣れてないアル」
「アンタはもう一年以上居るでしょーが」
私がそう言うと、返す言葉もないのか、劉は黙り込むが、その顔は少々不満気だ。
「お前らメンドくせーな…鈴佳、劉にも手渡ししてやれ」
それを遠目に見ていた福井ちゃんは、呆れた顔をしながら、こちらへ「ほらよ」とドリンク籠を持ってくる。
…何でわざわざ。
「…はい」
「……」
「は?要るの?要らないの?」
「要るアル」
わざわざ面倒なことを引き起こしてくれる劉に、渋々ながらも籠からボトルを一つ取り出して渡すと、一瞬また不満顔。
結局受け取りはするが、無表情ながらもその顔はいじけている様子。
何がそんなに嫌なのか。
「Oh,そーゆーことか!」
「何が?」
「劉は鈴佳のことが……っ!?」
「室ちんってばーダメだよー」
何か閃き、それを口にしようとした氷室の口を後ろから紫原が塞いだ。
「これはねーあったかーく見守んなきゃ」
「そうだぜ?氷室。あったかーくだ」
紫原と福井ちゃんは言う。