青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第7章 確信した
私が言った通り、どれだけ皆が評価し、「今すぐにでもスタメンに入って欲しい」と願っても、まだ正式に陽泉高校の生徒ではない氷室は、公式戦には出れない。
それでも。
IHには間に合わずとも、冬のWCが残っている。
陽泉高校バスケ部は、さらに強くなれる。と私は確信した。
IHでも結果を残して…WCであの子たちに止めをさせる。
「お疲れさま。氷室」
休憩に入り、私は氷室にドリンクとタオルを渡す。
氷室は「Thank you」と言い、それを受け取った。
帰国子女だからか、まだ会話の所々に英語が混じるのは、正直やめて欲しいが仕方ない。
「流石は本場出身ってだけはあるね」
「それほどでもないさ」
「ははっ。アメリカにいたのに謙遜はできるんだ」
「アメリカに居たって言っても、俺は純粋な日本人だからね」
聞けば、氷室は幼少期は日本で過ごしていたらしい。
が、物心つく頃には親の仕事の都合で、渡米したという。
アメリカでの生活が長かったせいもあって、まだ日本のルールや文化に慣れないところはあるらしいが、日常に支障をきたすほどでもないようにも見える。
「でも、やっぱ惜しいね。そんだけ上手いのにIHには出れないなんて」
私が言うと、氷室は苦笑。
「仕方ないさ。俺はまだ正式な陽泉の生徒ではな…」
「鈴佳。ワタシにもドリンク」
私と氷室が話していると、そこへズンズンとやってくるのは劉。
無表情だが、何やらご立腹の様子。