青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第3章 キライだ
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「こんにちはー」
入学式の片づけを終え、練習開始の準備をしていると、監督の雅子ちゃんが体育館へ入ってくる。
挨拶をした私を雅子ちゃんは、ジッと見て、安堵の息を吐いた。
「枝尾。今日は来たんだな」
「流石に怒られるかなって思いまして」
「私はいつも怒っているぞ」
「それはそれは。申し訳ございマセン」
雅子ちゃんにチラッと目を向けると、その後ろには大きな一人の少年。
…奴だ。
「全員集合しろ」
雅子ちゃんが部員を呼び集める。
私は整列した部員たちの後ろに立った。
「全員知っての通りだが、今日から紫原も参加する」
本来ならば、背の高いバスケ部員たちの後ろに立てば、いくら私がジャンプしようと、顔すら見えないんだろう。
だが、この部で一番背の高かった劉よりも高い彼は、私がジャンプしなくとも、その顔はハッキリと見えた。
「主将の岡村じゃ。こっちが副主将の福井。それと…枝尾、前に出て来い」
ゴリラが自己紹介をしているのを、面倒臭そうに聞いていると、突然私の名前を呼ばれる。