青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第7章 確信した
ともなれば、完璧主義者だと噂に聞く『キセキの世代』主将の赤司征十郎が、あの藍川を手放すなんて考えられない。
「私も直接対戦したのは一度だけですが、藍川はとても頭の切れる強者です。赤司がそう易々と他に渡すわけありませんよ」
「確かにそうだな…」
桐皇へ行った桃井も、私なんかでは足元にも及ばないほどに資質を持ったマネージャーだ。
だが、藍川に比べれば、その影に隠れてしまうほど。
正直なところ。
噂通りにアメリカへ行ってて欲しかった、と言うのも本音だったりする。
「ま。全部私がまとめてぶっ潰しますけど」
半分は見栄なところもあるけれど、私は雅子ちゃんに笑みを見せながら言った。
「それは頼もしい限りだな」
それに応えるように、雅子ちゃんも笑みを見せる。
…私が。
もう一度バスケ界に戻ろうと、陽泉のマネージャーをしようと思ったキッカケは雅子ちゃんに言われた一言だった。
―― 「逃げるのか?」
―― 「最強は帝光の藍川と桃井かもしれん。だが、枝尾が劣っているとも私は思わん」
―― 「もう一度、己の強さを証明すればいい」
―― 「ここには枝尾の強さを証明するに必要な人材が揃っている」
自分自身を保つために、いつでも思い出す言葉。