第3章 水蜜桃の果肉
ホラ、と両脇の下に手を入れて持ち上げてやれば、「たかいたかい!まさきすごい!」と嬉しそうに笑ってクラッカーを取り出す。下ろしてやれば、ニコニコ笑って上機嫌のめぐみは少し恥ずかしそうにしながら柾輝を呼んだ。何だと思って顔を近づければ、ほっぺたにちゅっと可愛らしい音が。目を見開く、「ありがと」と言い残してめぐみが少し赤い顔で黒川の前からダッシュで消えた。
「あきらちゃーん!めぐみまさきとちゅーしちゃった!」
「あらあら、おませさんね。驚いてた?」
「すっごく!ありがとうって気持ち伝わったかなぁ?」
「きっと伝わってるわ。さ、行きましょ。」
「うん!」
噂を聞きつけた翼やら英士やら、何人もがこの後黒川に詰め寄るのだが。彼は言うのだ。
「ま…いいか。」
こんな愛らしい色のハロウィンも、悪くは無いと。
水蜜桃の果肉