第5章 縮まる距離
今日は早めに行っとこうかな。
飯田君が来るのを待っていたい。
「樹里! ちょっと早めに行こ!」
「いつもマイペースな愛梨が今日は早いっ!」
「マイペースって言ってくれてありがと。
遅いって言われなかったからよかったよー」
「わざわざ気を使ってあげたんだよ! 感謝して~」
「樹里サマ、ありがとうございます!!」
「遠慮しないでもっと言っていいよ~」
「やめときまーす」
恋の力ってすごいね。
いつも時間にルーズな私がこんなに早くなるよ。
音楽室に着いた。
1番最初に行ったから他に誰もいない。
「樹里さ、もう飯田君のこと好きじゃないの?」
思い切って聞いてみた。
「好きじゃないよ。 もう普通の友達って感じかな。
てか、最近好きな人できた。」
えっ!?
「誰??」
「その前に…
愛梨、好きな人いるでしょ。」
そうきたか。
もう、言っても大丈夫だよね…?