第3章 自分の気持ち
飯田君が私にすばやくパスを送る。
わたしはそれをキャッチし、泰輝をめがけて
思いっきりアタックした。
ドンッと鈍い音をたてたボールは
泰輝の体をはじき、コロコロ転がった。
「泰輝-っ ちゃんととってよー
私、女なのに男の泰輝が私のアタック取れないとか、
周りが見たら私、引かれるー!」
私の発言にみんなが笑った。
「愛梨のボール強すぎんだって!
しかも飯田君とコンビよすぎだし?」
ニヤニヤしながら泰輝が言った。
どういう意味?
なんでニヤニヤしてるの?
その時の私には、その理由に気づけなかった。