第1章 幸せの黒猫
「ふぅ〜〜、怒涛の時間だったな…人生が変わった時間。」
隅に行ってヘナヘナと座り込む。
クロスケを追いかけたら仕事が手に入った。
(こんなことって…ホント?)
ほっぺをつねる。痛い。叩く。痛い。
2、3回繰り返すと猫用の出入り口から黒猫がが出てきた。
(クロスケ‼︎)
クロスケは私の膝あたりに顔を擦り付けてにゃごにゃご言っていた。
頭からお尻まで撫でて鼻先から喉元を撫でる。
「クロスケ聞いてくれる?私ね、あなたのあと追いかけたらお仕事が手に入ったの。嘘みたいでしょ?クロスケのおかげだよ。何か美味しそうな猫缶おごってあげるね。約束!クロスケホントにありがとう。」
「そいつ、メスやけどな。」
頭上から声が降ってきた。
見上げると窓越しに村上さんがこちらを見てた。
「え?!聞いてたんですか??」
「違うわ聞こえたんや。クロスケクロスケ聞こえたから外みたら久野さんおってな。
で、その黒猫、メスやで。名前は『とあ』。ウチで飼ってる猫や。とあの管理も業務の一つやから、よろしくたのんますわ。」
かくして、私の新しいスタートの幕が上がった。