第9章 失ったモノ
える
目を覚ましたのは、午前を過ぎて
針は1時を指していた。
至る所に処置がされている。
よう覚えていないが、とりあえず外してみると
傷はなくとも、包帯などには血が付いていた
ベットの上で、いろんな箇所を動かして見ると
痛みがない。
(そんなに、酷くないみたいだし
動いてもいいかな)
ベットから降りて、一歩踏み出すと
ぐらりと視界が揺れて膝から崩れる。
(ダメ、か…
でも、自分の部屋に戻らないと…)
ゆっくりと深呼吸をすると、少しだけ落ち着いた気がした。
ガタッ!
なんとかドアの前に行くも、それは開かない。
(鍵は…?)
かちゃりと回して、外に出る。
廊下に出て初めてそこは、保健室だったということがわかった。
(誰も、いない)
自分の足音がかすかに聞こえるだけで
他には何も聞こえない。
ぐぅーー……
なんとも似つかない音に少しだけ笑ってしまう。
(1時だもんね、お腹もすくよ)
自分にそう言って、部屋に向かった。