第4章 蒼 イ 塔と私
える
える(キズ、治ってる…。)
左手には、血を吸われた感覚はあるのに、
あるはずのキズが無くて、変な感じだ。
える(影山のも、治るのかな…。)
治されている事を思い浮かべて、
顔が赤くなる。
える(そっちの方がはずかしい…。)
氷の入った水を飲む。
ほのかにレモンとミントの味がして
冷たさと香りに少し冷静になる。
岩「なに、一人百面相してんだよ。」
える「そんなに変な顔してました?」
岩「あぁ。」
ため息をついてしまった。
える「すいません。」
岩「主役のお前が笑ってねーと意味ないだろ。」
差し出された大きな手。
岩「ほら、行くぞ。」
ゴツゴツした大きな手をとって私はみんなの元へ向かった。