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吸血鬼なんて聞いてないっ!

第4章 蒼 イ 塔と私



える

黒「俺の右手ッー!!!!!!」

及「なんと岩ちゃんっ!!!!!」

木「赤葦の馬鹿野郎っーー!!」

黒髪の寝癖(?)さんが叫んで、
及川さんと、木兎さんが寮長さんの襟元を
掴んで、すごい勢いで揺らしてた。

菅原さんが項垂れているから、
大地さんが、背中をさすっていた。

銀と緑の塔の人達は、喜ぶわけでもなく
叫ぶわけでもなく平然としていた。

キョロキョロと、周りを見渡す私の腕を
誰かがとった。

及「えるちゃん、これは運命としか言いようがないよね?」

ニコニコと、わざとらしいほどの笑顔を見せながら
手を繋ぐ。
どうだ!とでも言う様に、周りに見せている。

える(私の価値なんて、血程度じゃないの。
自慢する様なものでもないのに。)

こんなに喜ぶ理由がわからない。

先生曰く、吸血行為は原則ないらしい。
だから、私が差し出すことがない限り、
基本血は吸えない、はずだ。

それから、及川さんが言う運命なんて…。

及川さんの、優しく手を振り払って
岩泉さんに近づいて手を取る。

える「運命は、岩泉さんですよ?引いてくださったのは、岩泉さんですし。ね?」

確認する様に、岩泉さんを見上げた。

すると、少し逸らし気味に
あぁ。
と答えた。

える「よろしくお願いしますね。」

そう言うと、掴んでいた手が
頭を押さえて、岩泉さんの身体に寄せた。

そして私の目をしっかり見据えると

岩泉「ちゃんと守ってやるから、安心しろよ。」

その笑顔が、声が、
私の心を震わせた。







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