第10章 変化
える
松「える、おいで。」
える『松川さん…?』
ほら、いいから、と松川さんが私を呼ぶ。
それに釣られるように花巻さんが私を押してくれる。
松「今からえるに魔法をかけてやるよ」
目、閉じてって言って、私の前に立つ。
言われた通りに目を閉じて、
松「明日、目が覚めたら歩けるし、声も出る。
ハイ、復唱」
える『明日、目が覚めたら歩ける。声も出る…?』
松「もいっかい」
える『明日、目が覚めたら歩ける。声も出る』
松「よし、目、開けていいぞ」
なにがなんだかわからないまま言われるとおりにすると、
目の前にはいつもの松川さんが。
える『松川さん、今のって…?』
花「まーまー、いいから!
もう遅いし、寝るか」
二人にわしゃわしゃと頭を撫でられ
流されるまま気づけばベットの上に。
花「じゃーな、える!明日も起こしに来るから
ちゃんと起きてろよ」
松「おやすみ、える」
二人が手を振りながら部屋を出ていく。
今日話した事と、魔法?の意味を考える暇もなく、
ベッドに潜ると意識がプツリと切れた。