第9章 バレンタイン編 風見颯ーカケルー
「あの…カケル君?」
そっと声をかけると我に返ったみたい。
「あー…えっと、ちょっと、ほっとした」
照れくさそうに笑うカケル君。
「ずっと、俺の片想いだと思ってたからさ」
「え?片想いって…」
「俺、ずっと静香ちゃんのこと好きだったから」
そう言って笑うカケル君の笑顔に、私は釘付けになりました。
「ほら、冷えるから早く帰ろう」
カケル君は、いつものように私の手を握って歩き出す。
それでも、横顔が赤かったのはちゃんと覚えてる。
「…大好きだよ、カケル君」
私は小さく囁いた。