第1章 始まりはあの日から
きっと始まりはあの日……。
江戸にやってきたクロス・マリアンという男が、姉さまたちと出会ってしまったことだろう……。
いや、それよりも前……。
ずっと昔、ボクがまだ四つのころに死んでしまった母と、三つのころにどこかに消えてしまった父が出会ってしまったことだろう。
そのころから、ボクの周りの歯車は狂ってしまったかのように思える。
ボクが生まれてしまったから、父も母も、姉さまたちもボクのそばにいないのだろうか……。
ねぇ、教えてイノセンス……。
どうしてボクを選んだ?
どうしてボクを君は……君たちは生かそうとする?
ボクは何よりもあの人たちのそばにいることを願っていたのに、それすらも叶えることのできないこの世界が憎いよ……。