第11章 ポケットの中は【赤葦京治】
「で、赤葦とはどこまで進んでんの?」
「えっ?」
私たちマネージャーも一カ所に集まり食事をしていると雪絵ちゃんが聞いてきた。
「それは私も聞きたかった!」
かおりちゃんも私に迫り寄ってくる。
「もう一年だっけ?」
「はい…」
去年の東京遠征の時に付き合いはじめたからもう一年が経とうとしていた。
部活が忙しくデートはまだ両手の指が余るほど。
「そんな美咲ちゃんにプレゼントだよ~」
雪絵ちゃんが私のズボンのポケットに何かを入れた。
両手が塞がっていた私はすぐに確認もしなかった。
「あかーし!!肉が足りない!」
「自分で焼いて下さい」
「無理っ!誰か焼いて~!」
お肉が足りないと木兎さんがうるさくなって来たので私は京治くんたちの方へ向かった。
「さっすが美咲!」
「わざわざごめん…向こうで話してたのに」
「ううん、大丈夫。京治くんたちは練習で疲れてるから…」
私に出来ることはしてあげたいし…
「そろそろ大丈夫……」
「いっただき~っ!!」
大丈夫と言う前に焼けたお肉たちは木兎さんの胃袋に次々と入っていった。
「木兎さんはこれで暫くは時間が稼げます。オレたちは向こうに行きましょう」
京治くんは私の手を引き歩いていった。