第10章 確信犯【菅原孝支】
「孝支くん…孝支くん。おーい」
「Zz……」
東京遠征の為夜からバスに乗り、朝方東京に着いた。
『美咲は、俺の隣な』
座席をポンポンと叩く孝支くんの隣に座ったのはいいもの…
「起きない」
夜だったから寝るのは仕方がない。
実際私も寝ちゃったし…
でも起きないのは困る。
「孝支くん、着いたよ。起きて」
「ん……」
肩を揺らそうも彼は相変わらず夢の中。
「北川俺たちは先に降りるか…」
「きゃっ!こ、孝支くん!?」
ぽふ…………
「ん~……」
澤村くんと話していると私の胸に孝支くんの頭が収まった。
「こ、これはっ!!」
「じゃ、後は頼むな!」
真っ赤になりながら言葉を考えるも出てこず、澤村くんは逃げるようにバスを降り、追いかけるように東峰くんが追いかけた。
「スガさん流石っすね!」
「羨ましいっ!!」
西谷くんと田中くんは2人して目を輝かせ尊敬の眼差しで孝支くんの方を見た。
「二人とも早く降りて」
「「はいっ!!潔子さん!!」」
潔子の一言でさっと行動を移した2人はすぐにバスを降りていった。
「美咲、先に行ってるね」
「潔子~」
付き合う前から知っている潔子はバイバイと、手を振り
「おっ、お先ですっ!!」
ゴツンッ!!
頭を下げ座席にぶつけながら仁花ちゃんもみんなの元へ。
「では、北川さん…菅原くんが起きたら着てくださいね」
「早くしろよ~」
先生やコーチも降りバスには孝支くんと二人になった。
「孝支くん…みんな降りちゃったよ」
「ん……もう少し」
「…………」