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【DB トランクス】〜魔法使いの初めての感情〜

第6章 黒い翼



「私ね、恐ろしい化け物女なんだ。」

「化け物?」

俯きながら答える私をトランクスは見つめた。

「うん。でもね、私にはわからないの。」

「一体どういうこと?」














”やーい!ひとりぼっちの輝夜ー!”

”仲間外れの可哀想な輝夜ちゃーん。”

”お前お化け屋敷に住んでるのかよ、不気味な奴。”

私が故郷の森の小屋に住み始めた頃だ。
当時私と同じ歳くらいの町の子供たちが身寄りのない私を揶揄いの的にしていた。
その子達が来ると私は決まって聞こえないフリをしていた。
立派な魔法使いになればみんな認めてくれるんだと、そう信じて修行に励んでいた。

ある日のことだ。
私は花壇に大好きな白い花を植えていた。
その花の世話をし家に入った後に町の子供たちがいつものように揶揄いにきたのだ。

『おーいお化けはいるかー。』

『いるなら出てこい!俺が倒してやる!』

私はいつも通り聞こえないフリをしてやり過ごそうとして様子を伺っていた。

『なんだこの花?こんなお化け屋敷に花なんかいらねえよな!』

『そうだそうだ!踏み潰してやれ!』

そう言うと花壇の花を踏み潰したのだ。
何度も。何度も。



『…て。』

『お、やっと出てきたな化け物!』

私はいつの間にか外へ出て子供たちの前にいた。

『…めて。』

『はあ?ぶつぶつ言ってんじゃねえよ。』

子供たちは花びらがバラバラになった白い花を更に踏み潰し続けた。


『やめてーーーーーっ!!』

私は目を瞑り自分でも驚くほどの声を上げた。
その瞬間、空間がドクンと動いた気がした。

『うわぁ!』

途端に子供たちの驚く声とバタンと鈍い音がした。
ゆっくり目を開けると、そこには仰向けに倒れこんでいる子供たちがいた。

『な…な…。』

『今のなんだ!?空気がぶつかってきたみたいだ!』

『こいつだ…。こいつがやったんだ!』

『化け物…輝夜は本物の化け物女だー!』

すっかり怯えきった子供たちは、そういうと蜘蛛の子を散らすように町へ逃げていった。


『なんなの…今の。』

私は自分の両手を見つめた。
自分でも何が起こったかわからなかった。
だが、確かにあの時空間が歪むような、自分を中心に空気が激しく波打つような感覚がした。

『化け物…か。そうなのかな。』

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