第2章 目覚まし係*ロー*
急に聞こえてきた大きな音にビクッと肩を震わした。
びっくりしたけどなにか倒したのだと思った。だけどなんだか胸騒ぎがした。少したってもシャワーの音が聞こえてこない。彼は湯舟に浸かるような人ではない。
「!!」
最悪な事態が頭をよぎる。
「船長っ!」
風呂場に駆け込むと
船長が上半身だけ裸のまま浴室の入り口で倒れていた。
「せ、んちょ?」
頭が真っ白になった。
何が起きているのか瞬時に判断することができなかった。
「いや、船長?どうしたの?早く起きて!!」
いくら肩を揺すっても目を開ける気配はない。
「っっ!!!」
なんとかだした声も涙によってかすれ、言葉にならなかった。
額を彼の胸に寄せ、拳で叩いた。
こんなことなら正直に生きればよかった!
すると急に背中に暖かいものを感じた。
勢いよく顔をあげるとそこにはニヤリと艶だ彼がいた。
「ったく、こんなんに騙されるなんてな。」
パシンッ
気持ちが高ぶり体が勝手に反応した。
「最低!本気で心配したのにっ!!」
目に涙を今にも溢れんばかりにためて彼の頬をひっぱたいた。
だが、とうとう堪え切れずに涙が滝のように流れ出した。
俯いていると、叩かれた頬を手で抑えてキョトンとしていた彼がいきなり抱きしめてきた。
「わりぃ。こんな必死になると思わなかった。ただ…かまってほしかっただけなんだ。
お前が好きだから。」
私は目を見開いた。またからかっているのかと思ったけど、彼の心臓がうるさいくらいに聞こえた。
「信じていいんですか?」
そういうと彼は私を離した。その時の彼の顔を見て私はまた目を見開いた。
顔を真っ赤にして俯きぎみで当たり前だ、といった。こんな船長初めて見た。
なんだか必死な船長が可愛く見えた。
クスッと笑うと、笑うなと頭を小突かれた。
そしてお互い真っ赤にした顔で微笑み見つめあい、どちらともなく近づき
甘い甘いキスをした。