第1章 ボクの決心
ボクは美風藍。職業はアイドル。外見などは至って普通のアイドル。でもボクには特別な秘密がある。
…ボクは…人間ではない。ロボットだ。
このことを知っているのはボクを作った博士、事務所の社長シャイニング早乙女、マスターコースで同室だった後輩のナツキとショウ、そして曲作りのパートナーのハルカ。この5人だけが、ボクの秘密を知っている。
ボクがロボであることは事務所的にも、世間的にもトップシークレットに値する。だからかなりの労力を使って必死に隠した。5人の協力もあって、今までバレることなく、普通のアイドルとして振る舞うことができている。
昔のボクだったらこれでいいと思えただろう。歌うためだけに生まれた存在だと思っていたから。だけど今は違うんだ。この世界のいろいろな人間に出会っていくうちに、どうやらボクにも人間のココロというものが少しずつだけど芽生えてきたらしい。もっと成長していきたい、もっといろいろな経験をしていきたい、そう強く思った。そう考えていくうちに、ある3人の人間が頭に浮かんだ。そう、ボクが所属しているアイドルグループQUARTET NIGHTのメンバー、寿嶺二、黒崎蘭丸、カミュの3人。ボクら4人はグループなのにも関わらず身勝手でくだらないことでケンカばかりしている。うんざりだ。だけど彼らはちゃんと自分を持っているし、努力を怠らない。だから一応、信頼しているメンバーだ。だけど、そのメンバーに、ボクのことを話す必要は全くない。誰かがバラすとも思わないけど、話す事は決して正解ではないと思う。でもそれは嫌な気がした。これからグループ活動が続いていく中で、ボクだけが違った存在であることを隠し続けていくのは少し辛かった。
「これは…ココロが芽生えた代償なのかな…」
リスクはある。だけど…!
「…よし。」
少し怖いけど…正直に話してみよう。ボクは強く決心し、みんなの元へ向かった…。