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【テニプリ】闇菊【R18】

第84章 【ホントウハ】




「璃音!どう?儲かってるー?」

「あ、美沙、はい、順調ですよ」


バタバタと忙しくお客さんの対応や材料の準備に追われていると、様子を見にきてくれたのか、美沙がひょいっと顔をのぞかせる。


英二くん直伝のタコ焼きの評判は上々で、メイン会場に近い立地条件の良さも手伝ってか、予想以上に売り上げは伸びていて、この調子だと打ち上げ代、丸々浮いちゃいそうですよ?、なんて返事をする。


「ところで、美沙、どうしてここに……?」

「あ、うん、それが、ちょっと気になることがあって……」


この時間、美沙はちょうど自由時間になっていて、お腹いっぱい食べ歩きするって気合いを入れていたのを知っていたから、どうしたんだろう?、そう不思議に思って首をかしげる。


『午後2時からはここ、メイン会場中庭の特設ステージで、いよいよミス青学を決めるコンテストの開催だー!

……本命は今や青学の話題の中心、一年の鳴海芽衣子ちゃん!、あの決して彼女を作らない男、菊丸英二をエスコート役に、前評判どおり初の栄冠を手にするのか!?

それとも他の4人が上級生の意地を見せるのか……乞うご期待!!』


ちょっと気になることがあって……、そう美沙が言いかけた瞬間、タイミング良くかかったのはミスコンの放送……
やっぱり……、そう彼女があからさまにその顔を曇らせる。


「……やっぱガンガン聞こえて来る……当番、昨日、私と変わっとけば良かったね……」

「そ、そんな、気にしないでください、私、クラスの当番になっているおかげで、ミスコンの手伝いしなくて済んでるんですから……」


これで良かったんです、そう苦笑いで答えると、でもこれじゃ、ぜんぶ筒抜けじゃん、なんて美沙はため息をつく。


だから美沙がそんな顔、する必要ないのに……
どうせ知りたくないと思ったって、嫌でもすぐに分かることなんだから、直接、目に触れる可能性がないぶん、ここで働いている方がずっといい。


じゃなきゃ、多分、私、またどこかで一人、涙を流しているだけだから……
その度に不二くんや美沙に、気を遣わせてしまうから……

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