第83章 【ガクエンサイ】
「そうだ、次は小宮山さんのクラスのたこ焼きを食べに行こうか?」
「え?、あ、いえ、それは……今日は、英二くんが当番だったので……」
いつまでも避けていたって仕方がないのは分かってるんだけど、それでも英二くんの顔は見られなくて……
しかも今日は、鳴海さんも英二くんに会いにくるだろうし、やっぱり二人が一緒のところを見たくなくて……
そんなわたしの様子に、不二くんは辛そうに目を伏せて、それから、じゃ、小宮山さんの行きたいところに行こうか、そう言っていつもの笑顔で笑ってくれた。
「本当にここで良かった……?、いつもと代わり映え、しないけれど……」
「はい、いつもと同じだから安心します、売り上げにも貢献したいし……」
結局、連れて来てもらったのは、男子テニス部の模擬店。
グラウンドの一角、大きめのテントの下には人だかりができている。
さすが人気の男子テニス部、女の子がすごいですね……、なんて言いながら、途中で不二くんに買いに行ってもらった、クラスのたこ焼きを手に陣中見舞いをする。
「あ、不二先輩に小宮山先輩、来てくれたんすか?どうぞ遊んで行ってくださいよ!」
「はい、これ、良かったら皆さんで……」
どうぞ?、そう言い終わらないうちに、まじっすか!?と桃城くんは私の手からたこ焼きを奪い取り、有難てぇなぁ、有り難えよ!なんて言いながら、パクパクと頬張っている。
「おい、テメェ!なに勝手に食ってやがる!、小宮山先輩はみんなに差し入れてくれたんだぞ!」
「ふぁふぁひふぉふぉ、ひふふぁほぉ(かたいこと、言うなよ)……減るもんじゃねーし……」
「あぁ!?減るだろうが!」
すっかりおなじみになった桃城くんと海堂くんの喧嘩にクスクス笑いながら、明日、私がお店にいるときに来てくれればサービスしますから、そう言って2人をなだめる。
じゃ、行かせてもらいまっす!、そうニカッと笑う桃城くんに、テメェは遠慮しろ!、そう海堂くんがまた突っ込みを入れて、2人ともいい加減にしようか?、そう不二くんが笑顔で圧力を加えた。