第83章 【ガクエンサイ】
「……いつもすみません……またご迷惑をおかけしてしまって……」
しばらくメソメソと泣いていたけれど、その涙もやっと落ち着いて、私、本当、こんなんばっかり……、そう思って自己嫌悪する。
いつまでも不二くんに頼ってばかりじゃダメなのに、彼の優しさに毎回甘えてばかりで……
「さ、小宮山さん、予定通り学園祭を見て回ろうか?、きっといい気分転換になるよ?」
「……そうですね、せっかくの学園祭、楽しまなきゃ、ですよね……」
涙を拭いて立ち上がると、それから、もう一度、不二くんに頭を下げる。
クヨクヨしてたって仕方がないし、気持ちを切り替えて楽しもう……
不二くんと一緒に学園祭に戻ると、学園内は本当に賑やかで、さっきは夢中で駆け抜けて来ただけだったから、ちゃんと見れなかったけど、みんなすごく楽しそうに学園祭を満喫していて……
それは私と不二くんも例外ではなくて、本当にいい気分転換になって……
またどこで英二くんや鳴海さんと会うか分からないんだけど、それでもやっぱり楽しくて……
写真部と文芸部でそれぞれ展示作品を眺めた後、自費出版の写真集を不二くんが、小説冊子を私が購入して、それから不二くんのクラスのコスプレ喫茶へと向かう。
コスプレ喫茶では不二くんのツレということで、特別に私もコスプレしていいよって言われて、いえ、私は別に、そう慌てて断ったんだけど、アレヨアレヨと言う間に不二くんに合わせてお姫様の格好にさせられちゃって……
「写真とってあげるー、不二くんと並んで並んで!」
そう言われて、普段だったら断固お断りするところなのに、不二くんがノリノリだったのと、学園祭の華やかな雰囲気のせいかとても断れなくて……
しかもそのドレスがすごく可愛くて、似合ってないのはわかってるんだけど、つい大好きな童話の世界のお姫様になったような気分になっちゃって……
のせられるままに一緒に写真を撮ってもらって、でもすぐにプリントアウトしてもらった写真を見た瞬間、夢から現実に引き戻されて、思いっきり後悔して落ち込んだ。