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【テニプリ】闇菊【R18】

第83章 【ガクエンサイ】




「ああ、そうだ、もし良かったら小宮山さん、自由時間は裕太も一緒に回っても構わないかな?」

「それはもちろん構いませんけど……あの、そちらの方、不二くんに用があるみたいですよ……?」

「ああ、良かった、いい機会だから、僕の可愛い弟に小宮山さんのことを知ってもらいたいんだ」

「だから、そういうこと言うなよっ!」


近寄って話しかけてきたその人を完全に無視して、今度は私に話しかける不二くん……
決めポーズのまま、笑顔をひきつらせるその人に、観月がまた無視されてるだーね、なんて周りの人たちも苦笑いする。


でもそんなこと不二くんは御構い無しで、あ、そうそう、今日は一緒に家に帰ろうか、姉さんがラズベリーパイを焼いてくれてるよ、なんてまた裕太くんに話しかけて……


「あ、あの、不二くん、普段はこんな人じゃないんですけど……なんか、すみません……」

「いいえ、あなたが謝る必要はないですよ、あ、申し遅れました、私、不二周助くんの宿命のライバル、聖ルドルフ学園2年の観月はじめと申します」


笑顔をひきつらせながらも紳士的に挨拶してくれる観月くんは、不二くんのことをライバルと言っているけれど、多分、その思いは一方的なもので……
だって不二くんは終始、観月くんを無視していて……
その存在だけでなく、私との会話の中の彼すらもすっかり無いものにしていて……


そのうち、観月くんは裕太くんに怒りのオーラを発しながら、さぁ、裕太くん、予定変更です、これからスクールに戻りますよ?、なんて笑顔をひきつらせて言うと、すごく嫌そうな顔をする裕太くんを引きずりながら帰って行った。


「もう帰っちゃった……残念だけど、部活なら仕方がないかな……」

「いえ、不二くんのせいで部活になったんだと思いますよ……?」


そう言って二人の背中を見送る不二くんの、そのあまりに普段と違う様子に苦笑いしながら、完全に相手にされてない観月くんと、きっと今頃八つ当たりされている裕太くんを気の毒に思った。

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